割安株ってよく聞くけど、実際どうやって探すんだろう?」 「スクリーニングのやり方は分かったような気がするけど、条件の決め方が難しい……」

投資を1〜2年続けてくると、そろそろ 自分で銘柄を選んでみたい と思う方が多いのではないでしょうか。ただ、証券会社のスクリーニング画面を開いても、条件項目が40以上もあってどこから手を付けていいのか分かりづらいのも事実です。「PER 10倍以下」「PBR 1倍以下」と聞いたことはあっても、それを どう組み合わせるか でスクリーニングの質は大きく変わります。

この記事では、配当投資家の視点から 割安株の探し方 を、PER・PBR・配当利回り・ROE・自己資本比率の5指標で整理します。標準スクリーニング条件表・業種別の目安・バリュートラップの見抜き方・実践スクリーニング例 まで、一気通貫で解説します。執筆時点は2026年4月です。

まず結論:指標の組み合わせ + バリュートラップ回避が勝ち筋

細かい解説に入る前に、本記事の結論をまとめます。

  • 割安株スクリーニングは PER・PBR・配当利回り・ROE・自己資本比率 の5指標を組み合わせるのが基本
  • 標準条件は PER 10倍以下 × PBR 1倍以下 × 配当利回り 3%以上 × ROE 8%以上 × 自己資本比率 40%以上
  • 業種平均と比較 しないと「見かけの割安」に騙される
  • 「割安なのに安いまま」のバリュートラップは、EPS減少・配当性向 100%超・縮小業界 で見抜く
  • 証券会社のスクリーニングツール(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)を無料で活用できる
  • 候補銘柄は 5〜10銘柄に業種分散 して保有するのが王道

安いから買う」ではなく、「安い理由に納得できたら買う」。このスタンスに切り替えるだけで、割安株投資の勝率はぐっと上がります。

割安株とは — 本来の価値より市場評価が低い銘柄

割安株(英語: Undervalued Stock / Value Stock) とは、本来の企業価値よりも株価が低く評価されている 銘柄のことです。

市場は短期的に過剰反応したり、特定のセクターを嫌気したりして、実力より安い値段 を付けることがあります。その誤評価がいずれ解消されれば、株価は本来の価値へ戻っていく——これが割安株投資の基本発想です。

割安株の典型的な特徴は次の通りです。

  • 低 PER(利益に対して株価が安い)
  • 低 PBR(純資産に対して株価が安い)
  • 結果として 配当利回りが相対的に高く出る
  • 地味な業種(金融・素材・商社・インフラ)に多い
  • 成長株ほどは株価が跳ねないが、下値が堅い 傾向

割安株の多くは高配当銘柄でもあるため、配当投資家にとってスクリーニングの出発点として非常に相性がよい領域です。

基本指標5つ — 割安判定の物差しをそろえる

割安株スクリーニングでよく使う5つの指標を、目安とあわせて整理します。各指標の詳しい意味は PER・PBR・ROEの基本 にまとめてありますので、復習したい方はあわせてご覧ください。

① PER(株価収益率)

PER = 株価 ÷ 1株あたり純利益(EPS)

利益の何年分で株価を回収できるかを示します。低いほど割安です。

水準解釈
10倍以下割安ゾーン
10〜15倍標準
15〜20倍やや割高
20倍超成長期待込みの割高

執筆時点の東証プライム加重平均 PER は約 17〜18倍 です。ただし業種による差が非常に大きい点には注意。

② PBR(株価純資産倍率)

PBR = 株価 ÷ 1株あたり純資産(BPS)

解散価値(会社を今すぐ畳んだときの価値)に対して、株価が何倍かを示します。

  • 1倍以下: 解散価値を下回る = 割安の目安
  • 2023年3月、東証が PBR 1倍割れ企業に改善要請 を出したのは大きなトピックです

③ 配当利回り

配当利回り = 1株配当 ÷ 株価 × 100

割安かどうかの直接指標ではありませんが、株価が下がるほど利回りは上がる ため、割安株の副産物としてよく使われます。

水準解釈
2%未満低配当
2〜3%標準
3%以上配当重視派には魅力的
4%以上高配当ゾーン

ただし、利回り5%超 は減配リスクの裏返しであることも多いため、配当性向とセットで確認したい指標です。詳しくは 減配・無配リスクの見分け方 を参照してください。

④ ROE(自己資本利益率)

ROE = 純利益 ÷ 自己資本 × 100

株主のお金をどれだけ効率的に使って利益を生んでいるかを示します。

  • 8%以上: 合格ライン
  • 10%以上: 優良
  • 15%以上: 高収益企業

「割安 × 高ROE」は 稼ぐ力があるのに安い という、割安株投資家が最も好む組み合わせです。

⑤ 自己資本比率

自己資本比率 = 自己資本 ÷ 総資産 × 100

財務健全性の物差し。借金に頼っていないかの目安です。

  • 40%以上: 健全
  • 50%以上: かなり安定
  • 20%未満: 借金依存のリスクあり(業種による)

割安株が「借金まみれで株価が安い」ケースを避けるため、自己資本比率のチェックは必須です。

標準スクリーニング条件 — まずはこれをコピーする

5指標をどう組み合わせるか、実戦的な条件表として2パターン用意しました。

標準的な割安スクリーニング(配当投資家向け)

指標条件
PER10倍以下
PBR1倍以下
配当利回り3%以上
ROE8%以上
自己資本比率40%以上
時価総額500億円以上(流動性確保)

この条件で日本株をスクリーニングすると、数十〜百数十銘柄程度に絞れるはずです。

厳しめのスクリーニング(さらに絞り込む)

「候補が多すぎて選べない」という場合は、条件を厳しくして数を減らします。

指標条件
PER8倍以下
PBR0.8倍以下
配当利回り4%以上
連続増配 or 配当維持5年以上
EPS 成長率過去3年プラス

こちらは銘柄数が一気に減り、10〜30銘柄 程度に落ち着くことが多いです。ここから業績・IRを丁寧に見るのがおすすめです。

証券会社のスクリーニングツール — 無料で使える

日本の主要ネット証券には、どこも無料で使える高機能スクリーニングツールが付いています。口座を持っているなら活用しない手はありません。

証券会社ツール名特徴
SBI証券スクリーニング国内・米国株の両方に対応。40以上の条件で細かく絞り込める
楽天証券スーパースクリーナー財務・配当・テクニカル指標を組み合わせ可能
マネックス証券銘柄スカウター詳細な財務分析ツールが特に充実

無料の Web ツールでも、みんかぶ・株探・Yahoo!ファイナンス・日経電子版 などで基本的なスクリーニングが可能です。まずはお使いの証券会社のツールで、前述の「標準スクリーニング条件」をそのまま入力してみてください。

割安株を見つける6ステップ

スクリーニングで候補を絞ったあとの流れを、6ステップ にまとめました。

  1. スクリーニングで候補を絞る(PER・PBR・配当利回りなど)
  2. 業種分散を意識して上位 20〜30銘柄 を選ぶ
  3. 各銘柄の 業績推移を3〜5年分 チェック(売上・EPS・配当)
  4. 配当方針 をIR資料・中期経営計画で確認
  5. バリュートラップでないか 検証(次章)
  6. 5〜10銘柄に業種分散 して投資

「スクリーニング → 即購入」ではなく、3〜5で必ずフィルターをかける のがポイントです。スクリーニングは「候補リスト作り」であって、「買い推奨リスト」ではないという感覚を持っておきましょう。

バリュートラップの見抜き方

割安株投資で最も怖いのが バリュートラップ(Value Trap) です。指標上は割安なのに、本質的な理由があってずっと割安のまま、場合によってはさらに下げていく銘柄のことを指します。

バリュートラップの典型パターン

  • 業績が 3年連続で減収減益
  • 売上高が 縮小業界(構造的に需要が減っている)
  • 配当性向 100%超(稼ぎ以上に配当を出している=いずれ減配)
  • 自己資本比率が急低下
  • 主要株主の売却が続いている
  • EPSが長期下落トレンド

特に「配当利回りだけが高い」銘柄は要注意。株価が下落して見かけの利回りが高くなっているだけ というパターンが多いからです。

バリュートラップを避ける4つのチェック

  1. EPSの長期推移 — 下落トレンドならNG
  2. フリーキャッシュフロー — マイナス続きならNG
  3. 業界全体の成長性 — 縮小業界なら慎重に
  4. 競合との相対比較 — 同業他社と比べても割安か

この4点に納得できて初めて「安いには理由があるが、投資する価値もある」と判断できます。

業種別の割安目安 — 「PER 10倍以下」だけでは不十分

割安判定でもう1段階精度を上げるには、業種平均との比較 が欠かせません。鉄鋼・銀行のように構造的に PER が低い業種では「PER 10倍」は全然割安ではないからです。

業種平均 PER平均 PBR割安ゾーン(目安)
銀行8〜12倍0.5〜0.8倍PER 8以下、PBR 0.5以下
商社8〜12倍0.8〜1.2倍PER 7以下、PBR 0.8以下
通信10〜15倍1.0〜1.5倍PER 10以下、PBR 1.0以下
鉄鋼5〜10倍0.5〜1.0倍PER 6以下、PBR 0.5以下
IT・ハイテク20〜30倍2〜5倍PER 15以下、PBR 2以下

上の表から分かる通り、同じ「PER 10倍」でも業種によって意味が違います。スクリーニングで銘柄が出てきたら、必ず その銘柄の業種平均と比べる ようにしましょう。株探やYahoo!ファイナンスの業種別指標ページで確認できます。

複数指標の組み合わせテクニック

基本指標を単独で見るだけでなく、組み合わせ指標 を使うとスクリーニングがより立体的になります。

PER × PBR(ミックス指数)

PER × PBR の値が低いほど割安、という考え方です。これは グレアム指数 とも呼ばれ、バリュー投資の父ベンジャミン・グレアムが提唱した古典的な指標です。

PER × PBR評価
PER 10 × PBR 110普通(標準ライン)
PER 8 × PBR 0.86.4割安
PER 15 × PBR 1.522.5やや割高

ミックス指数 10以下」をざっくりした割安判定ラインとして使う投資家も多いです。

配当利回り × 自己資本比率(安定度指標)

両方が高い銘柄 は「割安 × 財務健全」のダブル達成。減配リスクが相対的に低く、長期保有向き と判断できます。

例: 配当利回り 4% × 自己資本比率 60% の銘柄は、景気後退局面でも配当を維持しやすく、ストレスの少ないポートフォリオ候補になりやすいです。

PEG レシオ(PER ÷ 年間利益成長率)

成長性まで加味した割安指標です。

  • PEG 1倍以下: 割安の目安
  • PEG 1〜2倍: 標準
  • PEG 2倍超: 割高

PER が高めでも利益成長率が高ければ割安判断できるため、成長性のある割安株 を探したいときに便利です。

2023年東証改革の影響 — 割安株投資家には追い風

2023年3月、東京証券取引所は PBR 1倍割れ企業に対して資本コストや株価を意識した経営の改善要請 を出しました。いわゆる 「PBR改革」 です。

これにより、PBR 1倍割れ企業は

  • 自社株買いの積極化
  • 増配・特別配当
  • 政策保有株の解消
  • 中期経営計画の前倒し

といった株主還元策を強化する流れが続いています。割安株投資家にとっては絶好の追い風 と言える環境です。

ただし、「PBR 1倍割れ」だけを理由に買うのは危険です。あくまで 標準スクリーニング条件 と組み合わせて、PBR 1倍割れ × 業績安定 × 還元姿勢 の3点セットを満たす銘柄を探すのが賢いアプローチです。

実践スクリーニング例 — 「高配当バリュー」を作ってみる

最後に、配当投資家向けの実践的なスクリーニング例を1つ紹介します。筆者がよく使う 「高配当バリュー」スクリーニング です。

  1. 配当利回り 3.5%以上
  2. PER 12倍以下
  3. PBR 1.2倍以下
  4. 自己資本比率 40%以上
  5. 過去5年で増配 or 配当維持
  6. 時価総額 1,000億円以上(大型株中心)

条件4・5で減配リスクをカット、条件6で流動性と信用度を担保しています。この条件で日本株をスクリーニングすると、だいたい 40〜80銘柄 程度が残ります。

そこから 10〜20業種に分散 して10〜15銘柄に絞り込めば、安定感のある高配当バリュー・ポートフォリオ の骨格ができあがります。セクター分散のすすめ もあわせて参考にしてみてください。

海外株のスクリーニング — ETF + 個別銘柄のハイブリッド

米国株でも同じ考え方でスクリーニングできますが、個人投資家にとってラクなのは 高配当 ETF を軸にする 方法です。

  • VYM(バンガード米国高配当株式 ETF)
  • HDV(iシェアーズ・コア米国高配当株 ETF)
  • SPYD(SPDR ポートフォリオ S&P 500 高配当株式 ETF)
  • VIG(バンガード米国増配株式 ETF)

個別銘柄を選ぶなら、配当貴族(25年以上連続増配)・配当王(50年以上連続増配) のリストからスタートすると、スクリーニングの手間が大きく減ります。詳しくは 米国高配当ETF比較配当貴族・配当王 を参照してください。

ETF でベースを作り、個別株で上乗せ するハイブリッド運用が、海外株では特に相性のよい組み立て方です。

スクリーニング後の注意点

最後に、スクリーニングを実践する上での実務的な注意点を3つまとめます。

  1. 人気化した銘柄は素早くリストから消える — 割安情報は流動性が高く、同じ条件でも月ごとに候補が入れ替わります
  2. 市場環境で基準を調整する — 金利上昇局面では PER 目安を厳しく、景気回復局面では ROE 目安を重視、など
  3. 自分で納得できる理由で保有する — スクリーニング通過だけで買わず、事業内容・IR資料まで読んでから決める

スクリーニングはあくまで 候補を絞る道具 です。最終的な投資判断は、自分自身で納得した上で下しましょう。

まとめ — 5指標 × 業種比較 × バリュートラップ回避

本記事のポイントを振り返ります。

  • 割安株スクリーニングは PER・PBR・配当利回り・ROE・自己資本比率 の5指標の組み合わせが基本
  • 標準条件は PER 10以下 × PBR 1以下 × 配当利回り 3%以上 × ROE 8%以上 × 自己資本比率 40%以上
  • 業種平均と比較 して初めて本当の割安が見える
  • バリュートラップは EPS減少・配当性向 100%超・縮小業界 で見抜く
  • 証券会社の無料スクリーニングツール(SBI・楽天・マネックス)を活用する
  • 候補は 5〜10銘柄に業種分散 してから保有する
  • 2023年の東証 PBR改革は 割安株投資家に追い風

「割安だから買う」から「割安な理由に納得できたから買う」へ——この一歩を踏み出せれば、あなたの投資判断はワンランク上に進化します。

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スクリーニングで選んだ銘柄を買ったあと、「結局いくら配当が入ってきたのか?」を把握しないと、割安株投資が機能しているかどうか判断できません。

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